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2025/05/30
高温・油分・急変温に耐える。海の現場から生まれたメンブレン

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1.Soxスクラバーの排水を処理するために生まれた膜ろ過ユニット
近年、硫黄酸化物(SOx)排出規制への対応としてSOxスクラバーが世界中で採用されています。
ボールフィルターの膜ろ過装置は、このSOxスクラバー排水を処理する目的で開発された製品。船舶用主機関から出る排ガス処理水に含まれるSS(懸濁物質)分、油分が多く含まれた汚損度の高い条件でも、50ナノメートルの高精度の膜により全自動での運用が可能です。
つまり、世界中の海の現場で使われている、過酷な環境に耐えうる高性能な膜ろ過装置なのです!
さらに、EGR(排気ガス再循環)システムやiCER(インテリジェント排ガス再循環システム)といった世界中の船舶用主機関向けにも応用され、日本国内でも導入が進んでいます。
2.耐熱、耐薬品、耐油性。タフなろ過膜
ボールフィルターの膜は、炭化ケイ素(SiC)を使用しています。炭化ケイ素(SiC)はダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ世界で最も硬い材料の一つです。
ボールフィルターのSiCセラミック膜技術は、極めて高い耐久性と堅牢性を兼ね備えており、過酷な使用環境でも安定した性能を発揮します。
また、高い透過率と親水性(疎油性)を誇り、pH0~14という幅広い対薬品性も特徴です。一般的なポリマー膜と比較して、油分を弾く性質から油を含んだ排水にも影響されず、常に最適なろ過が可能となります。
・親水性が高く、油分を通さない
・高温液に強く、熱による劣化が起きにくい
・急激な温度変化にも耐え、割れにくい
・アルカリ洗浄(苛性ソーダなどの薬品)にも対応
エンジンを通した高温の排液など、過酷な条件下でも安定して使える高性能ろ過膜なのです。
3.高精度50ナノメートルの濾過精度と大流量処理が可能なクロスフローろ過
ボールフィルターの膜ろ過装置はクロスフローろ過を採用しています。
液体が膜面と平行に流れ、その一部が膜のろ過膜表面にある50ナノメートルの孔を透過し濾過されます。
クロスフローろ過により、ろ過膜表面への粒子の蓄積を最小限に抑え、膜寿命につながるファウリング(目詰まり)を防ぐことが可能です。
ボールフィルターの膜ろ過ユニットは船舶用途にとどまらず、高濃度の処理水や厳しいろ過要件が求められる産業用途においても対応。長寿命の膜とクロスフローろ過により大流量かつ安定したろ過性能を提供する信頼性の高いソリューションとなっています。
4.膜を内製化しているからこそ、現場に合わせたカスタマイズができる
ボールフィルターの膜ろ過ユニットは、ただの既製品ではありません。私たちは膜の素材選定から製造までを自社内で一貫して行う「内製化体制」を確立。この強みが、各現場のニーズに応じたきめ細かいカスタマイズへの対応を可能にしています。
一般的なろ過膜ユニットは、既成の膜を購入して装置に組み込むケースがほとんどで、使用環境や処理水の性質に最適化された製品を作ることは難しいのが現状です。一方、 膜の内製化によって、私たちは、お客様のニーズに合わせてテーラーメイドすることができます。
ボールフィルターの膜ろ過ユニットは、すでに400台以上が世界中の海で稼働しており、その信頼性と性能は実証済されています。
そして今、視線は陸へ。工場排水や産業排水など、より幅広いフィールドで多様なニーズに応え続けていきます。