2024/05/20

ストレーナとは? 【配管更新・入れ替え前に知っておくべき現場事情】

ストレーナとは? 【配管更新・入れ替え前に知っておくべき現場事情】

ストレーナ(Strainer)とは、気体・液体と固体を分ける濾し器・ろ過器のこと。
工業分野では、液体(水や油)・気体(ガスや空気)から、固体の異物・夾雑物をこし取り、
配管ライン上から除去するための器具・機械を指します。

1 ストレーナとは?

液体や気体から、固体をとり除く「こし器」全般を「ストレーナ」といい。
ザルや、排水口についているバスケット状の金物も「ストレーナ」の仲間です。

工業でいう「ストレーナ」は、水・オイル・エア・ガスなどの配管上に継ぎ手のように接続し、
異物をキャッチする器具・機械のこと。

内蔵するスクリーン(メッシュ状の網や有孔金属板など)やフィルターで異物を分離する装置で、
メッシュの細かさに応じて、数ミリサイズの小石や砂、金属くずから、ミクロレベルの微細な粒子まで、
様々な異物をキャッチすることができます。
Y型ストレーナ

●ストレーナは、後続の機械・作業のためにある!

ストレーナは、液体・気体の配管ライン内に設置され、
洗浄水・冷却水やオイルをきれいにして製品の品質低下を防いだり、
熱交換システムの運転効率を維持したりする目的でよく使われています。

水やオイルに異物が混じると、
後続の機械に詰まってトラブルを起こしたり、効率を低下させたり、
製品を傷つけたりする恐れがあるためライン上から取り除く必要があります。
配管ライン内に流れ込むゴミや、流体に混じる異物・夾雑物をろ過して捕捉し、
後続のシステム機器を詰まりや汚れから防ぐのが、ストレーナの主な役割です。

●ストレーナの種類

世の中には、目的・用途、配管の形状、設置条件に応える様々な形状・機能のストレーナがあります。

01 Y型ストレーナ 最もよく使われるストレーナ。内蔵するスクリーンでゴミをキャッチする構造です。
ゴミが内部に堆積するため、定期的に開放し、清掃する必要があります。
02 U型/バケット型ストレーナ Y型よりも大きな濾過面積をとれることが特長です。
開放・清掃作業が必要ですが、バスケットを上部から取り出すことができます。
03 T型ストレーナ L字型に流路を変える配管やコーナー部分に使われるT型ストレーナ。
定期的な開放・清掃作業が必要です。
04 ストレート型ストレーナ 配管に対して並行にネットを設置する形状なので、設置スペースがコンパクト。
定期的な開放・清掃作業が必要です。

上記全てに共通しているのが、
どの形状のストレーナも、分離したゴミを内部に溜める器具であるということ。

ゴミをキャッチすることはできても、これを排出するにはどうしても人手がかかります。
つまり、定期的にフタを開けてスクリーン・バスケットを取り出し、清掃する作業なしには役割を果たしません。
工場内に何箇所も設置されているストレーナを、場合によっては一日何度も洗浄する必要があるので、
現場ではこの清掃作業にまつわる悩みが非常に多いのです。

2 実は大問題!ストレーナにまつわる現場の悩み

使用頻度の高い重要なストレーナほど汚れやすいので、清掃作業が頻繁に必要です。
だからこそ、ストレーナ清掃は、現場スタッフにとって頭の痛い問題。
実際に、こんな声が後を絶ちません。

●清掃の手間

・毎日のように開放・清掃作業をするのが面倒。
・清掃ために人員を確保しなければならない。

●清掃に伴うロスタイム・チョコ停

・流路を止めて清掃をしなくてはならないので、ロスタイムが発生する。
・目詰まりするたびにラインを止めて清掃しなくてはならない。

●頻繁な目詰まり

・ゴミや泥の固着・劣化によって、ストレーナがすぐ目詰まりを起こす。
・河川や地下水の取水ラインでは、雨の後に水が濁ってろ過が追いつかない。

●処理量・圧力損失によって生産効率が悪化

・ストレーナにゴミがたまると流量・圧力が足りなくなり、システムが正常に稼働できない。

●後続機械の不具合

・清掃が足りないと、後続の機械・熱交換器にゴミや異物が入り込み、目詰まりを起こす。
・機械に汚れがたまり、性能が発揮できなくなった。
・ノズルに汚れが付着し、たびたびトラブルを起こす。

●製品品質への影響

・生産機械や冷却等の不調・トラブルが製品品質に影響する。
・洗浄水・冷却水に混入した異物がワークに傷をつける。

などなど…。
日常的な清掃が面倒な上、生産効率や品質への影響を考えれば、
ラインの設計段階からストレーナ選びを安易に考えてはいけないことが明白です。
後悔先に立たず!
シンプルなストレーナは比較的コストがかからないため採用されやすい製品ですが、
本来、設計・新設段階でこそ、ストレーナの清掃作業にかかるコストやロスタイムへの配慮が重要であると言えます。

3 オートストレーナで開放・清掃作業を自動化

経年劣化や生産量増加にともなうラインの機器入れ替え・配管更新は、
このような課題解決のチャンス
でもあります。
上記のような問題点に心当たりがある工場なら、
ストレーナを、自動洗浄機能のついた「オートストレーナ」に変更することを検討してみませんか。

検討のポイントとして重要なのは、自動洗浄によって本当に清掃が不要になるかどうかです。
オートストレーナにも、洗浄機能の異なる様々なタイプがあります。

●オートストレーナの種類

01 ブラシ・スクレーパーかき取り式オートストレーナ エレメント表面のゴミをブラシでかきとってゴミを除去します。
02 ノズル吸引式オートストレーナ エレメント表面のゴミをノズルで吸い込んでゴミを除去します。
03 サイクロン式オートストレーナ 流体と固形物の比重差を利用し、遠心力でゴミと流体を分離する網のないタイプです。
04 逆流洗浄式(逆洗式)オートストレーナ 一時的に、原液の流れとは反対の「逆流」を生み出し、エレメントに付着したゴミを剥がして洗い流します。

中でも洗浄力に定評があるのは、「逆洗式オートストレーナ」
洗浄工程では、原液の流れとは逆の流れ(逆流)を発生させて、
フィルターに付着したゴミを引き剥がし、一気に洗い落とす方式です。

ボールフィルターのオートストレーナ ろ過工程

▲ろ過工程はフィルターの内から外に流れる
  

ボールフィルターの洗浄工程
▲洗浄工程ではゴミを引き剥がす「逆流」へ

 
特に、フィルター(エレメント)の上下が開放されるタイプのオートストレーナは洗浄力に死角がなく、
1回の洗浄でエレメントの隅々までゴミを洗い落としてくれます。
上下開放タイプと片側閉鎖型の比較


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4 洗浄力が高いオートストレーナは、本当に清掃いらず!

本当に洗浄力が高いオートストレーナは、手作業での清掃が一切必要ありません。
これまで毎日洗浄していた工場でも、
定期メンテナンスから次のメンテナンスまでの間、一度も清掃しなくてよいということです。
現場の手間と、ロスタイムをなくし、後続の機器と品質をしっかり守るために
入れ替えや更新の際には、ストレーナ洗浄を自動化できるオートストレーナ導入をぜひお考えください。

オートストレーナ選びのコツや各洗浄方式の詳細は、
下記に比較記事をまとめているので、ぜひ参考になさってください。